映画感想『Mr.ノーバディ』/イコライザーではなかった
冴えないオヤジが実は強かった!という熱い展開ではあったものの、うーん、ちょっと期待値を下回ったかな。『イコライザー』的な切れ味や爽快感を期待していただけに、やや拍子抜け。ハードルを上げ過ぎてしまったか…。
主人公ハッチ(ボブ・オデンカーク)の冴えなさ加減は良かったんですけど、問題は裏の顔ですよ。ビックリするくらいに強いのかと思いきやそうでもなくて。いや、強いのかもしれないけど、僕の勝手なイメージは『イコライザー』のデンゼル・ワシントンですからね。それに比べたら弱々なんですよ。バス内で絡んできたチンピラ5人くらいは秒であっさりと片付けて欲しかったんだけど、まさかの大苦戦という体たらくですよ。
まぁ、よく言えばリアリティがあるんですけど、僕の勝手なイメージは『イコライザー』のデンゼル・ワシントンですからね(しつこい)。ここはビシッと圧倒して欲しかったところ。
このバスのくだりまでは強さの片鱗が垣間見られていたのでね、スペシャルな強さを見せてくれるんじゃないかと期待感があったんですけど、このグズグズ感はいただけなかったですね。まぁ、タフさは良かったけど。
『ジョン・ウィック』の脚本家デレク・コルスタッドと製作デビッド・リーチが再タッグを組んだという本作。
猫のブレスを返せとブチ切れたり(『ジョン・ウィック』では犬が殺されてブチ切れた)、ぶっ倒したチンピラのひとりがマフィアの弟だったり(『ジョン・ウィック』では息子)、二番煎じとまでは言わないけど、ものすごく既視感があって、ジョン・ウィック臭が妙にただよっていてノイズになってしまったのは残念。
特に動物が絡んだキレ芸は『ジョン・ウィック』の特許みたいなもんだし、火の粉を振り払っただけなのに大事になっちゃう流れも何だか似てたし。
続編があるとかないとか噂されてますが、次作でイタリアンマフィアが出てきたらもう、これ確信犯ですよ。
本作を観て、決してイコライザー的な切れ味や爽快感、そして孤高感や人知れず感のある作品ではないことがわかったのでね。『Mr.ノーバディ』の世界観は理解できたし、決して悪くない作品だと思うので、続編は楽しく観られるかもしれないなぁと、そんな風に思いました。
ハードルを上げ過ぎるのは良いことないですな…。