ビボログ3.0

備忘録なブログです。

映画感想『砕け散るところを見せてあげる』/青春でサスペンスなヒーロー譚

凄惨ないじめを受ける玻璃(石井杏奈)、そんな玻璃の前に現れたヒーロー清澄(中川大志)、そして2人の間に芽生える淡い恋心…という展開があまりにもベタすぎて小っ恥ずかしい気持ちになりつつもグッとくる前半の学園青春譚から一転!堤真一の登場でヘビーなサスペンスへと変貌する展開はたまらなくおもしろかったです。

さらに!僕の大好きな女優・石井杏奈さんがヒロインを演じているっていうこともありまして、えー、本作は傑作認定です。

 

いじめられている玻璃を救う清澄の爽やかすぎるヒーローっぷりを見て「こんな奴いねぇよ」とか「そこまでするか?」とか思ったり心の中で突っ込んだりしつつも、もうね、グッときてしまいました。清澄最高。

僕なんかアラフィフのくせにいまだにニチアサ(日曜日の朝にテレビ朝日系列で放映されているアニメや特撮などの子ども向け番組)の仮面ライダースーパー戦隊を見てるくらいにヒーローって大好きだし、特別な存在なんですよ。だから清澄の「自分のためにではなく他人のために行動する」というヒーロー然とした姿に人一倍胸に響くわけでして。清澄最高。

目の前で困っている人がいても見て見ぬふりをしたり、何かしら言い訳を作ってその場から逃げだしたりしたこと、一度や二度ありますでしょ?ぶっちゃけ僕はありますよ。

でもね、清澄を見て思いましたよ。悪党から世界を人類を救うだけがヒーローなんじゃないって。仮面ライダースーパー戦隊だけがヒーローなんじゃないんだって。困っている目の前のひとりを助ける、全世界を救うことはできないけど、少なくともその人の世界を救うことはできる、それがヒーローなんじゃないですかね。キミも、ヒーローにならないか?(なんだそりゃ)

まじめな話、目の前で困っている人がいるのならば手を差し伸べてあげるべきだと、今さらながらに思いましたよ。ただ、命を落としてはダメですけど…。

 

そんな清澄を演じた中川大志さん。最高。おそらくヒーローを演じさせたら右に出る者がいないんじゃないかっていうくらいに完璧なヒーローでした。そもそも顔がヒーロー顔だし、爽やかだし、スタイルもいいし、今後このようなヒーロー的な役は中川大志さんに演じてもらえば間違いないんじゃないですかね。いずれ変身ベルトを付けてニチアサに登場して欲しいくらいですよ。

 

で、後半はまさかのサスペンス。

まぁ、門限を気にする玻璃の雰囲気から不穏な空気は漂ってはいたけど、ここまでガッツリとサスペンスになるとは予想外でした。急転直下という言葉がぴったりの展開で、ここまで血生臭くなるとは…怖いわ、堤真一さん(玻璃の父親)。

ザ・ファブル 殺さない殺し屋』でもウツボという悪役を演じてましたけど(今回ほどサイコでは無かったけど)、陰湿な悪役が似合いますね。いやぁ、怖かった。

思っている以上にヤバい奴だった玻璃の父には戦慄したけど、クライマックスで清澄と玻璃の2人が、お互いがお互いの身の安全を思いやりつつも玻璃の父に立ち向かおうとする姿、お互いがお互いのヒーローになるという展開はホントに胸熱でした。

特に玻璃の父の秘密を暴くために自転車で2人乗りして沼に向かうシーンはよかったなぁ。希望に向かっているようで地獄に向かっているようで、青春でサスペンスでヒーロー譚である本作を象徴するような本作のベストシーンだと思いました。

 

そして何より、役者陣の素晴らしさよ。

中川大志さんはもちろんのこと、ヒロインを演じた石井杏奈さん。まぁ、個人的に好きな役者さんなので、ややひいき目に見ちゃうんですけど、こういう影がある役って似合いますね。元々顔つきに憂いがあるので(いい意味で)、玻璃役はハマってました。そしてやっぱり可愛かった…。

他には気の良い奴をやらせたら若手ナンバーワンだと個人的には思っている井之脇海さんの存在感も抜群。どうなんですかね。この調子でバイプレイヤーとして出演作を増やしていけば、田中圭さんのようにいずれ主役が回ってきそうな気がするのは僕だけでしょうか。結構好きなんですよね、井之脇海さん。

そして清澄のクラスメイトの尾崎を演じた松井愛莉さんとその妹の清原果耶さんも良かったなぁ。尾崎みたいな可愛くて大人びてツンツンしているクラスメイト、いましたもん。そういう子はだいたい彼氏は年上なんですけどね(どうでもいい)。

ちなみに松井愛莉さんの実の弟さん(松井蓮之さん)はJリーグ川崎フロンターレに内定しているという豆知識も書いておきますね。

で、清原果耶さん。若いのに結構大人びた役が多いイメージがあるけど、今回は等身大。『宇宙でいちばんあかるい屋根』のつばめ役に近くて、可愛らしくてちょっぴり生意気で、すごくいいキャラでよかったなぁ。

清澄の母親役の矢田亜希子さんもすごく可愛らしかったし(もっと映画やドラマに出演してほしい!)、クリーニングのおばちゃん役の木野花さんも素敵だったし、役者さんたちがみんな存在感があってよかったです。

 

残念だったのは、凄惨な事件後に清澄と玻璃が再会するシーン。もう少しドラマティックにして欲しかったなぁ。だって、ここはグッとくるところじゃないですか。離ればなれになったヒーローとヒロインの再会ですよ。ベッタベタでいいので、2人の思い出の場所とか2人を象徴するような印象的な場所での再会だったらさらにグッときたのになぁ。ここはSABU監督にひと言申したいところ。

 

青春譚でサスペンスなんだけど、作品全体としてはヒーロー譚という、文字にするとわけがわからないんですが(汗)、非常にインパクトがあって感動的ですごく良くできたヒーロー作品だなぁと。これはオススメしたい1本です。

そうそう。『砕け散るところを見せてあげる』という作品名の意味がよくわからなかったです。いったい、どういうこと?

映画感想『ゴジラvsコング』/4DXで観る怪獣バトルは最高だったけど小栗旬の無駄使いは残念。

ゴジラキングコングという日米を代表する2大怪獣の激突ですよ。そりゃあ、観るでしょ、4DX3Dで。

ということで、シアタス調布まで行って(車で40分くらいかけて)鑑賞してきましたよ。僕と嫁さんと娘の3人で。

大人ひとりの料金は…鑑賞料金1500円(イオンクレジット払いで通常料金1800円から300円引き)+3D料金300円+3D専用メガネ100円+4DX料金1000円=2900円。

小学生の料金は…鑑賞料金1000円+3D料金300円+3D専用メガネ100円+4DX料金1000円=2400円。

で、大人ふたりと小学生ひとりの合計料金は…2900円×2+2400円=8200円!

オーマイガッ!オーマイガッ!鑑賞料金も大怪獣級ですわ。

映像に合わせて座席が動いたり風が吹いたり水が出たり匂いがしたり…遊園地のアトラクションみたいなものですからね。それなりにお金がかかるのはわかりますけど、お高いですわ。ポップコーンやらドリンクやらを買うと万券がポーンと飛びますからね…。

まぁ、嫁さんも娘も大満足してくれたからよかったですけど、そんなにしょっちゅうは観に行けないなぁ、4DXは。映画体験としては最高ですけどね。

 

で、感想。

本作『ゴジラvsコング』を劇場鑑賞する人のほとんどは、ゴジラとコングの大迫力のバトルシーンと小栗旬の活躍を観たいわけで、観る理由ってこの2点だけだと思うんですよね(そんなことはない)。

個人的には、極論を言っちゃうと、内容なんて重視してなくて。コングの故郷がどうとかエネルギーがどうとか、そんなことはどうでもよくて(繰り返しますけど、極論ですよ)。大前提として大迫力のバトルを観たいわけですよ、感じたいわけですよ。

その点はもうね、間違いない。最高。すごくよかったです。街がめちゃくちゃになって死者数ハンパないだろうなぁ…なんて野暮なことを思ったりしたけど、大怪獣のバトルはやっぱりテンション上がりますよね。

で、ゴジラがまた強いんだ。機動力はコングの方があるんですけど、攻撃力はゴジラが圧倒的。百戦錬磨感があって、さすがキング・オブ・モンスター。口から光線を吐けるんだから、本気出せばコングなんて瞬殺じゃないですかね。

そんな大怪獣バトルを4DXで体験するとですね、たまらないわけですよ。一挙手一投足が体感できて笑っちゃうくらいに座席が動く動く。隣の嫁さんと顔を見合わせて笑っちゃうくらいに動く動く(笑)。で、さらに隣の娘を見ると、めちゃくちゃ座席が動いているにもかかわらず3Dメガネをかけて普通にポップコーンを食べてるというね(笑)。遊園地大好き娘にとっては4DXの揺れなんて大したことないんですかね。

まぁ、とにかく4DXとの相性が抜群というか、4DXで観るべき作品だと感じました。

 

そしてもうひとつの注目ポイントである小栗旬の出演。

これはね、観た方はみんな思ったんじゃないかしら。小栗旬の無駄使いが過ぎる。ハリウッドデビューということで、ご本人は嬉しかったと思うし満足されているのかもしれないけど、日本人として、日本のスター俳優があんなショボい扱いをされるとは残念極まりないです。

まぁ、日本ではスターでも世界的には無名でしょうからね。仕方ないのかもしれないけど、もう少し見せ場を作って欲しかったな。小栗旬の白目姿なんて見たくなかったな。芹沢蓮というキャラ自体は雰囲気があって良かったんだけどなぁ。

 

一応内容にも触れておきますが、さほど目新しさはなかったです。何かの問題を解決するにはルーツを辿るのはある意味王道だし、前作『キング・オブ・モンスターズ』同様に結局悪いのは人間のエゴだったり。内容的には特筆すべきところは無かったかなぁ。

ゴジラって、要は天災なんですよね。で、それを引き起こしてるのは愚かな人間たち、ということ。環境破壊をしている人間たちを皮肉っている感じがしました。

 

4DXで鑑賞して大正解だったし、大怪獣ものは4DXはマストかもしれないなと、そんな風に感じました。

ちょっとお高いですけどね。

映画感想『ブラック・ウィドウ』/『エンドゲーム』での決断の理由と可愛いエレーナ

アベンジャーズのメンバーであるブラック・ウィドウの過去の物語。

『シビル・ウォー  キャプテン・アメリカ』(2016)と『アベンジャーズ  インフィニティ・ウォー』(2018)の間に起こった出来事が描かれ、そして何より『アベンジャーズ  エンドゲーム』(2020)での衝撃的な決断理由がわかるという激アツな作品でして。ヘビーでシリアスでタフな物語なんだけど軽妙さも忘れないというMCUのバランス感覚もさすがで、個人的にはとても大好きな1本になりました。

 

『エンドゲーム』で衝撃的な最期を遂げたわけで、正直なところ鑑賞前までは、いまさらブラック・ウィドウの過去編をやる意味に懐疑的ではあったんですけど、いやぁ、めちゃくちゃ意味ありましたわ。

いかに彼女が家族という存在を大事に思っていたのか。家族に対する強い思いを持っていたからこそのあの選択、決断だったんですよね。『エンドゲーム』でのブラック・ウィドウの死は衝撃的だったし悲しかったけど、本作を観て、彼女らしい決断だったとすごく納得できたし、僕の中でブラック・ウィドウの株が爆上がりしました。

 

血のつながらない擬似家族が本当の家族になっていくという胸熱な家族の物語としても良かったんですけど、ナターシャ(=ブラック・ウィドウ)とエレーナ(フローレンス・ピュー)の姉妹愛が描かれるシスターフッドものとしても実に良くて。

大人な姉ナターシャに突っかかる妹エレーナという図式は何だかリアリティがあって微笑ましかったし、エレーナがナターシャに対してではなくブラック・ウィドウに対してメタ的にいじるというシーンなんてもう超おもしろかったです。

物語が進むにつれて関係性が良くなるナターシャとエレーナの姉妹感には本当にグッときたなぁ。2人揃っての活躍をもう見られないだなんて悲し過ぎる…。

で、エレーナが可愛いんですよ。口が達者で小生意気で、でも、何だかんだで誰よりも家族を愛していて。ふてくされて自室に引きこもっちゃうところもすごく末っ子っぽくて可愛かったです。キャラとしても魅力があったので、今後人気が出そうな気がしますね(っていうかもうすでに僕は好き)。

今後アベンジャーズにも絡んでくることが確定しているので、すごく楽しみ。単純にブラック・ウィドウ2世になるとは思えないけど、ナターシャからエレーナへのバトンタッチはうまくいったんじゃないでしょうかね。

 

それにしてもいったいどの段階で本作『ブラック・ウィドウ』の構想を練ったんですかね。『エンドゲーム』でのブラック・ウィドウの決断理由との繋がりがうますぎるので、かなり早い段階から構想はあったんでしょうか。ホントすごいよなぁ、MCUって。

映画感想『東京リベンジャーズ』/主人公はタケミチだけどマイキーとドラケンの勝ち

主人公タケミチが元カノであるヒナタの死を回避させるためにタイムリープを繰り返し、過去を変えて未来を変えようと頑張る、というお話。

 

いやぁ、おもしろかった!漫画原作の実写映画化作品としては大成功なんじゃないですかね。

端折られたシーンがあったりしたけど、変な脚色もなく、タケミチの泥臭さやヒナタへの真っ直ぐな思いとか、ヤンキーたちの滾る感じや友情とか、タイムリープのSF感や不穏な空気感とか…原作のイメージを損なうことなく『東京卍リベンジャーズ』の世界観がうまく表現されていて、とても好感が持てました。

英勉監督はいい仕事したなぁと、上から目線で申し訳ないけど、素直にそう思いました。『賭ケグルイ』『映像研には手を出すな』『ぐらんぶる』などの実写映画化を数多く手掛けているだけあって、さすがでしたよ。

 

本作の完成度をグッと上げたのは漫画のキャラクターと俳優さんたちのシンクロ度じゃないでしょうかね。

北村匠海演じるタケミチはもちろん良かったんだけど、ごめんなさい。本作ではちょっと印象が弱かったです。いや、弱いというより、吉沢亮演じるマイキーと山田裕貴演じるドラケンのインパクトが強すぎて煽りを食ってしまったような。

だって、かっこよすぎなんだもの。マイキーもドラケンも。タケミチが絶体絶命の時に登場するマイキーとドラケン、集会で気合を入れるマイキーとドラケン、絵になりすぎ。

原作者の和久井健さんは吉沢亮山田裕貴を当て書きしたんじゃないかと思えるほどにハマってました(言い過ぎか?)。

まぁ、2人とも特撮ヒーロー出身なのでね(吉沢亮仮面ライダーメテオ山田裕貴はゴーカイブルー)。ヒーロー感の出し方というか、カッコつけ方を心得ているようで、さすがのひと言。2人にはいつかまたゴリッゴリの特撮ヒーローを演じて欲しいなぁなんて思っちゃいました。

 

他には鈴木伸之演じるキヨマサもよかった。個人的には本作の陰のMVPだと思ってます。偉そうでムカつく感じとか、弱い奴には強いみたいな小物感とか、雰囲気も含めて敵役としてかなり存在感があったなぁ(もう少しねっとりした感じが出てたら満点)。

考えてみるとタケミチが日陰の人生を歩むきっかけになったのはキヨマサのせいですからね。もっと言うと、キヨマサと出会わなかったらヒナタも死なずに済んだんじゃないかと。小物なんだけど実は結構重要なキャラなんですよね、キヨマサって。これで退場しちゃうのはもったいない…。

 

今田美桜のヒナタはどうなのかなぁなんて心配してたけど、ヒナタのちょっと強気でちょっとお姉さんな雰囲気が出ていて、まったく問題なかったです。っていうか恐ろしいほどの可愛さでビックリしました。今田美桜ってこんなに可愛かったんでしたっけ?(ヘアスタイルがちょっぴり似合ってなかったような気がしたけど。)

ヒナタに関してはちょっと気になるところがあって。タケミチは死なないって断言したり、タケミチを守るって言ったり、ヒナタのセリフが少し不自然に感じるのは僕だけですかね。

単にタケミチを勇気づけるためだけに言ったセリフなのか、あるいはヒナちゃん…まさかタイムリープしてないよね?

タケミチはヒナタの死を回避させるため、ヒナタはタケミチの死を回避させるために、お互いにタイムリープしてたりして…。(ネット界隈ではヒナタのタイムリーパー説とか、ナオトのタイムリーパー説が転がってるので読んでみてはいかがでしょうか。結構おもしろいです。)

 

杉野遥亮=ナオト、磯村勇斗=アッくん、間宮祥太朗=稀咲、清水尋也=半間、眞栄田郷敦=三ツ谷…と、主要キャラを演じた俳優さんたちのハマり具合もバッチリでした。

半間の出番がめちゃくちゃ少なかったのはちょっぴり残念。あの嫌な感じ、見たかったな。

 

当然続編はあると思いますが、これだけの人気俳優のスケジュールをおさえるのは大変そう。早くても2年後くらいですかね。その頃には原作は終わってるかな…。

衝撃的なシーンから開幕するであろう続編。期待して待ちましょ。

映画感想『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』/前作をはるかに超えるおもしろさ!

前作(2018)はノレなかったんですよ。

音を立てたら即死の状況なのになんで家族揃って薬の調達に行く必要があったのか、なんで幼い末っ子を家族の最後尾でそれもひとりで歩かせたのか、なんで子どもなんか作っちゃったのか…などなど、疑問に思うところが多くて、共感できなかったんですよね。

特に主人公・エヴリン(エミリー・ブラント)の妊娠は完全にアウト。

ホラー作品に完璧なリアリティなんて望んでないけど、必要最低限のリアリティは必要だと思うんですよ。そういった意味では、エヴリンの妊娠はリアリティのかけらもない。

赤ちゃんは絶対に大声で泣くし、コントロールできないのは誰しもわかること。家族みんなが大きなリスクを背負うわけですよ。僕なら200%子どもなんか作らないですけどね。

その赤ちゃんのおかげで物語は盛り上がるんだけど、ちょっと雑だよなぁ。すでに妊娠していて、幸せいっぱいのときに「何か」がやってきた、という設定にすればよかったのに…。

末っ子を失った家族の悲しみとか、父親と娘のすれ違いとか、家族の物語としてはグッとくるところがあっただけに惜しかったんですよね。

って、今さら前作をグチっても仕方ないか。

 

で、本作。

いやぁ、すごく面白かったです。前作を遥かに超えるおもしろさでした。来るぞ、来るぞ、きたーっ!みたいな心拍数が上がる王道の展開に、子どもたちの危なっかしさがプラスされ、いい感じに緊張感緊迫感のある仕上がりで。最後は感動までしちゃったし、かなり没入度の高いサスペンスホラーに仕上がってましたよ。

 

まずよかったのは、「何か」がやってきた1日目のシーンを冒頭に入れてきたところ。単に前作の続きから始めるのではなくて、なぜ世界がこんな壊滅的状況に陥ったのかという説明的なシーンを描くことによって、より前作との一体感がでて作品全体がグッと締まるんですよね。僕が言うのもあれなんですけど、ジョン・クラシンスキー監督のセンスを感じました。

日常から非日常へ変化する瞬間、パニック具合もすごく怖くてよかったです。一気に引き込まれましたよ。非日常への瞬間、これこそがサスペンスホラー作品の醍醐味じゃないですか。

 

行動力があり過ぎる長女リーガン(ミリセント・シモンズ)、ビビりな長男マーカス(ノア・ジュプ)、この2人がすごく成長して、最後なんて泣きそうになりましたよ。

特にマーカスはホント感動的なほどに成長を見せてくれてね。やっぱり人間て修羅場をくぐり抜けると成長するんですよね。

赤ちゃんを守りつつ自分も守りつつ、そして母親を守りつつ。ビビりなマーカス、最後はたくましかったなぁ。

 

リーガンとマーカス、子どもたちの成長は感動的だったものの、問題は母親エヴリンですよ。まぁ、ひどい。

「何か」から匿ってくれた恩人エメット(キリアン・マーフィ)に対して、勝手に出かけていなくなったリーガンを探してきて!友だちなら当然でしょ!みたいな自分勝手な言いっぷり。命がけで私の娘を探してきてくれってどの口が言うとるんやろ…。どう考えても監督不行き届きで、これはエヴリンのせいでしょ。お願いする態度には見えなかったなぁ(エメットってエヴリンの元カレかなんかなのかしら、っていうくらいの言いっぷり)。

エメットの住処に転がり込んできた上に自分勝手なことを言うエヴリンに結構カチンときましたよ。必死なんだろうけどさ、自己中で周りが見えてない感じが不愉快だったなぁ。

もしかして、赤ちゃんを作ろうって言い出したのはエヴリンなんじゃないですかね。そんな気がする(前作の話はもういいか)。

 

本作の終わり方を見る限り、間違いなく続編はあるでしょう。

今回、子どもたちは劇的な成長をみせてくれたので、いよいよ次作で反撃開始かもしれませんね。ひょっとしたら10年後くらいが描かれるのかもしれないなぁって予想しますけど、どうでしょう。

「何か」の弱点も見えてきたし、他にも生存者がいそうなので、ガラッと違う展開を期待したいなぁ。逃げてばかりの展開はもう十分、お腹いっぱいですよ。

映画感想『クルエラ』/エマ・ストーン主演の美しいディズニー映画

ディズニー作品は嫌いではないけど好んで観るほどでもないので(『トイ・ストーリー』シリーズと『アナと雪の女王』シリーズくらいしか観た記憶がない)、本作『クルエラ』も普通にスルー予定だったんですけど、評判が良さそうだし、何よりヴィラン誕生の秘話というそそられる内容だったので劇場鑑賞することに。

いろんな意味で美しい映画だったなと。

持って生まれた我の強さ、行動力や胆力などのパーソナルな部分。ファッションデザイナーになるという夢やデザインセンス。母親を殺したバロネスへの復讐。そしてヴィラン・クルエラの誕生。すべては出生の秘密に起因していたという流れは淀みなく美しくて、恐ろしいほどの完成度。没入感もハンパなかったっす。今さらながら、ディズニーって、すごいっすね。

命を奪うことではなくて、社会的に抹殺することでバロネスへの復讐を果たす結末も実に爽快で見事で美しかったです。

そして『101匹のわんちゃん』へと繋がっていくラストカットもお見事。あの子犬同士が出会うのね…。

 

で、なんと言ってもエマ・ストーンの美しさですよ。キュートで可愛らしいエルシアとセクシーでカッコいいクルエラ。もうね、エマ・ストーンの魅力が大爆発。あんなギャップを見せつけられたら、そりゃあファンになっちゃいますよ。

ミュージカルは苦手なので観てないんですけど、エマ・ストーンが出演しているのなら観ようかしら、『ラ・ラ・ランド』。

 

華やかなドレスや装飾、ダークな風景など映像の美しさや、カッコいいクルエラのアバンギャルドな化粧やファッションなど、視覚的にも楽しめるというのもグッド。その上、70年代のロンドンのパンクでグラムな雰囲気もスタイリッシュで、これまたグッド。

要は、プロットもエマ・ストーンも映像も、すべてがうまく融合されていて美しい作品なんですよ。唯一気に入らなかったところは…僕の大好きなロックスター、デヴィッド・ボウイの曲が使われなかったところかな。70年代でロックといったら、ボウイでしょ?

 

他に良かったところは、復讐のために突き進むクルエラが、仲間であるジャスパーやホーレスに対して傲慢な態度をとって仲違いするシーン。良くも悪くも「実の母親」からの血が色濃く受け継がれているんだなぁと。クルエラは認めたくないだろうけど、やっぱり似ているんですよね。血は争えないんですよ。そんな抗えない悲劇性が妙にリアリティがあって個人的にはツボでした。

でも、そのあと(反省したからなのかどうかはわからないけど)、捕まったジャスパーとホーレスを救出するという仲間思いのところを見せるんだけど、それは「育ての母親」の影響によるものだと思うんですよね。「育ての母親」からは愛情をたっぷりと受けていたんだなぁと胸にくるものがあって、これはこれでツボでした。

 

エステラの青春譚でもあり復讐劇でもあるという、非常に感情の揺れ幅の大きい作品で没入度も高く、かなり面白かったです。『ジョーカー』を彷彿とさせるようなクルエラの狂気にもグッときました。

まぁ、でも本作のMVPは面の皮の厚い傲慢なカリスマデザイナーであるバロネスを演じたエマ・トンプソンじゃないですかね。敵役っぷりが素晴らしく、そのおかげでクルエラに思いっきり感情移入できたし、ラストの爽快感もたまらなかったです。

 

『クルエラ』、オススメです。

映画感想『Mr.ノーバディ』/イコライザーではなかった

冴えないオヤジが実は強かった!という熱い展開ではあったものの、うーん、ちょっと期待値を下回ったかな。『イコライザー』的な切れ味や爽快感を期待していただけに、やや拍子抜け。ハードルを上げ過ぎてしまったか…。

主人公ハッチ(ボブ・オデンカーク)の冴えなさ加減は良かったんですけど、問題は裏の顔ですよ。ビックリするくらいに強いのかと思いきやそうでもなくて。いや、強いのかもしれないけど、僕の勝手なイメージは『イコライザー』のデンゼル・ワシントンですからね。それに比べたら弱々なんですよ。バス内で絡んできたチンピラ5人くらいは秒であっさりと片付けて欲しかったんだけど、まさかの大苦戦という体たらくですよ。

まぁ、よく言えばリアリティがあるんですけど、僕の勝手なイメージは『イコライザー』のデンゼル・ワシントンですからね(しつこい)。ここはビシッと圧倒して欲しかったところ。

このバスのくだりまでは強さの片鱗が垣間見られていたのでね、スペシャルな強さを見せてくれるんじゃないかと期待感があったんですけど、このグズグズ感はいただけなかったですね。まぁ、タフさは良かったけど。

 

ジョン・ウィック』の脚本家デレク・コルスタッドと製作デビッド・リーチが再タッグを組んだという本作。

猫のブレスを返せとブチ切れたり(『ジョン・ウィック』では犬が殺されてブチ切れた)、ぶっ倒したチンピラのひとりがマフィアの弟だったり(『ジョン・ウィック』では息子)、二番煎じとまでは言わないけど、ものすごく既視感があって、ジョン・ウィック臭が妙にただよっていてノイズになってしまったのは残念。

特に動物が絡んだキレ芸は『ジョン・ウィック』の特許みたいなもんだし、火の粉を振り払っただけなのに大事になっちゃう流れも何だか似てたし。

続編があるとかないとか噂されてますが、次作でイタリアンマフィアが出てきたらもう、これ確信犯ですよ。

 

本作を観て、決してイコライザー的な切れ味や爽快感、そして孤高感や人知れず感のある作品ではないことがわかったのでね。『Mr.ノーバディ』の世界観は理解できたし、決して悪くない作品だと思うので、続編は楽しく観られるかもしれないなぁと、そんな風に思いました。

ハードルを上げ過ぎるのは良いことないですな…。